禁厳有共

晒さないでください

「哀れなるものたち」を観た

⚠️ネタバレがあります⚠️

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ヨルゴス・ランティモスの「哀れなるものたち」を観た。

「聖なる鹿殺し」の監督の新作と聞いて正直全く期待していなかった、聖なる鹿殺しは私には全く刺さらなかったから。

人生で観た中で最も良いと思った。

自分のfilmarksを見返すと☆5が付いていた映画はどれも世界観や性癖を重視した作品(アダムスファミリーシリーズ、アメリエスター等)ばかりであった。
「ゴシック又はカラフルで、本質は明るい」私はそういう作品が好きなんだと思う。
「哀れなるものたち」も例に漏れずそういう世界に存在するなと思った。

最近観た中ではRRRもとても良かった、系統がかなり違うので同率一位とさせて欲しい。

券を買う時同行人に「R18だけど大丈夫?」と冗談を言われて「19歳ですo(^-^)o」と返したが正直かなりしんどかった。
性的なシーンや(医療的に)体を切るシーンに抵抗がある人はそのシーンだけ目を瞑る事をお勧めする。

簡潔に説明すると、軟禁状態にある知能が未発達な主人公が外の世界に飛び出してヨーロッパを旅行し成長していくというものである。

同行人にも言われたが、主人公は私に似ているなと思った。とても。
後先を考えず周りの意見を振り切る、何事も経験だと言ってとんでもない目に遭ったり、その状況ですら楽しんだり、成長過程で哲学にハマったり、全てを新鮮な気持ちで感じ取ったり、自分より賢い男に言い包められたり、自分より幾分“まともな”感覚を持った人間とはうまくやれない。

そんなベラが、愛おしかった。
赤ちゃんだったベラが娼婦になったとき、少し悲しかった。
自分にそっくりな主人公が、色んな人間に出会い、対話して、色んなものを見て、経験して、成長していく姿は2時間半のみであった筈なのに、2年半以上は過ごした気がした。
そしてそこには生まれてから私が過ごしたであろう20年があったとさえ思えた。

親に愛され、婚約者に愛され、世界を知って、“向上”を目指すベラをみて、私の人生もそうでありたいなと思った。

「哀れなるものたち」の世界は現代にはまだまだ追いつかない時代の話かと思えば、ドラえもんが出てきそうな近未来の要素も垣間見えてとても愉快だった。
首を境に別の動物と縫い合わされた奇妙な動物が可愛かった。
カラフルでサイケデリックな視界がとても気持ちよかった。

紙やサラダを食べながら観たらきっともっとたのしいけれど、それが許されない中でトリップできる最上級の映像だな と思う。

前半では「人間が感じ得る全ての嫌悪感を詰め込んだみたいな映画だな」と思っていたものの、美しい起承転結により終わった時に感じていたのはこれまでにない清々しさだった。